初公開!「量子コンピュータの実装性能と耐量子コンピュータ暗号に関する30年間の調査」を発表 ~ 12/17 Japan Security Summit 2019で講演 ~ 玉川大学(2019年12月06日)

玉川大学量子情報科学研究所(東京都町田市 所長:相馬正宜)の廣田 修(ひろたおさむ)顧問(玉川大学名誉教授 前量子情報科学研究所 所長)は、12月17日に早稲田大学で開催される「Japan Security Summit 2019」において、量子情報科学研究所が30年にわたって進めてきた量子コンピュータの実装と耐量子コンピュータ暗号に関する調査結果について講演を行います。
<講演のポイント>
 玉川大学量子情報科学研究所は1990年に世界初の量子情報科学の国際会議を創設し、20年にわたってその会議を運営し、その国際交流などに基づき、量子コンピュータの実現可能性について30年にわたり検討してきました。
 今回の講演では、量子コンピュータ版のムーアの法則(シェルコッフの法則)の根拠やグーグルによる量子超越性の実証について、量子確率過程論と量子符号理論の観点から分析した結果を初めて公開します。加えて、一般社会人が量子コンピュータと耐量子コンピュータ暗号について率直に抱く多数の疑問などについて的確な回答を網羅します。

<講演内容とその背景>
 量子コンピュータ、量子暗号、量子センサなどの量子技術は量子超越性が期待できると考えられています。特にゲート型量子コンピュータは従来型のコンピュータに比べて飛躍的に優れた計算能力を持つことが理論予測されており、世界的な規模で開発競争が実施されています。最近のグーグルの量子超越性の実証報告とそれに対するIBMによる反論をめぐる議論は、量子コンピュータの実装性能について社会的な関心を喚起しました。
 量子コンピュータは大規模な量子ゲートの組み合わせ回路の実現が必須ですが、閾値定理と呼ばれる数学的証明から、古典コンピュータに対するムーアの法則に匹敵する予想法則が示されています。それによると、現在の小規模の量子コンピュータから古典コンピュータと同様な進化過程を取るとされています。もし、それが正しいとすれば、実務レベルの量子コンピュータが50年程度で出現します。
 一方で、量子コンピュータの開発に伴って、現在の暗号技術に対し改善の要求が高まってきました。2016年、米国商務省の研究機関で世界の暗号の標準化を司るNISTは、次世代の暗号として耐量子コンピュータ暗号の公募を開始しました。しかし、状況はそれほど単純ではありません。
 本講演では、実現予測に多大な影響を与えている閾値定理の数理的背景や課題の詳細な分析を報告します。その内容は耐量子コンピュータ暗号として期待される公開鍵暗号や物理暗号の開発基準に影響を与えるため、本講演で報告される内容は多方面に重要な情報を提供すると期待されます。
<ジャパンセキュリティサミット(Japan Security Summit)> https://security-summit.jp/
・開催日時: 12月17日(火) 10:00~16:30 ※廣田顧問の講演は11:50~12:30
・講演題目: 「量子コンピュータの現状及び将来と暗号開発の関係~グーグルの量子超越性の意味~」
・開催会場: 早稲田大学 国際会議場 井深大記念ホール

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