Cliffhanger、NGSゲノム解析で量子コンピューターを活用ゲノムアセンブリングの最適化により、高速NGSゲノム解析が可能に

Cliffhanger株式会社(所在地:東京都港区、代表者:川嶋直)は、NGSゲノム解析におけるアセンブル問題の最適化手法として、量子コンピューティングによる新手法を開発しました。本手法を用いれば、将来的に見込まれている量子コンピューターの量子ビットの増加により、高速にゲノム解析を行うことが期待されます。
【背景】
 アセンブルを用いたNGSゲノム解析においては、NGS により断片化された塩基配列の決定に多くの計算時間が必要なため、現状ではリファレンスゲノムという一定の型に合わせてGPUを用いたマッピングを行うことでゲノム解析を可能としています。しかし、こうしたマッピングでは、ゲノム再編集の際に個体独自の変異が消えている可能性があります。そのため、リファレンスデータを用いない手法である「ゲノムアセンブリング」に注目が集まっています。一方、こうしたアセンブリングでは、NGS により切り取られた大量の塩基配列群をつなぎ合わせる必要があり、従来法ではゲノム再編集に膨大な時間がかかるという課題があります。
ゲノムアセンブリング 概要ゲノムアセンブリング 概要

アセンブリングとマッピングの違いアセンブリングとマッピングの違い


【課題への解決案】
 NGSゲノム解析において、従来法では上記のような課題を抱えており、膨大な計算量を処理する新たな解析法の確立が期待されています。Cliffhanger 株式会社は量子情報処理技術を活用することで、ゲノムアセンブリングにおける最適な組み合わせの探索および接続を行う量子アルゴリズムを開発いたしました。今回開発した手法にてゲノムアセンブリングの様々なパターンを量子アニーリングを用いて解析した結果、塩基配列が適切にアセンブリングできていることを確認いたしました。本技術を用いることで、従来1ヶ月程度かかっていたアセンブリングを大幅に短縮できることが予測されます。本技術を用いることで、研究機関、製薬会社様で行われる研究開発、また遺伝子検査をはじめとしたゲノム解析を用いたサービスを提供される企業様がより高精度かつ高速な解析を行うことを可能とします。今後は、量子アニーリングに加え、NISQ におけるQAOA等、量子ゲート方式を含めた最適化手法 へも拡張を進め、さらにヒトゲノムアセンブリングのサービス化実現を目指し研究開発を行なっていく予定です。

【Cliffhanger 株式会社での取り組み】
 Cliffhanger 株式会社では、ヘルスケア、アドテクノロジー、リテールなどの幅広い分野にAI / Deep Learning Technologyの社会実装サービスを提供しております。現在、地方医療機関との提携を進め、介護分野を中心としたAIの社会実装サービスを展開しております。本年度からは、MDR 株式会社と提携し、ヘルスケア分野における量子アニーリング PoC 事業を中心とした新たな事業を開始する予定です。

【用語解説】
 NGS(Next genome Sequencer):次世代ゲノム解析シーケンサー
 アセンブリング:リファレンスデータなしに複数の塩基配列を繋ぎ合わせる技術

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